Skip to main content.
Google custom search

NetBSD のライセンスと再配布について

このページでは、 著作権に関する背景を述べることによって、 NetBSD オペレーティングシステムの多くの部分の配布条件となっている NetBSD のライセンス条項について説明し、さらに なぜ私たちがこのライセンス条項を選択したのかを説明します。

NetBSD の著作権とライセンス条項

NetBSD のライセンスの選択

著作権に関する情報


NetBSD の著作権とライセンス条項

伝統的なバークレーライセンス (トップ)

NetBSD オペレーティングシステムを構成するソフトウェアの多くの部分は パブリックドメインではありません; 作者は、それぞれの著作権を保持しています。 しかし、NetBSD プロジェクトで作業をしている人々は フリーなオペレーティングシステムを提供することを約束しているので、 NetBSD プロジェクトのソースコードの大部分をカバーするライセンス条項は 比較的寛大なものになっています。 一般に、開発者はそのライセンス条項を、 バークレーライセンス(Berkeley license) として知られるものを手本にしています。 このライセンスはカリフォルニア大学バークレー校の second Berkeley Networking Release や 4.4BSD Lite software release で使用されたもので、以下のようなものです:

Redistribution and use in source and binary forms, with or without
modification, are permitted provided that the following conditions
are met:

  1. Redistributions of source code must retain the above copyright
     notice, this list of conditions and the following disclaimer.
  2. Redistributions in binary form must reproduce the above copyright
     notice, this list of conditions and the following disclaimer in the
     documentation and/or other materials provided with the distribution.
  3. Neither the name of the University nor the names of its contributors
     may be used to endorse or promote products derived from this software
     without specific prior written permission.

日本語に訳すと、以下のようになります(参考):

ソースおよびバイナリー形式の再配布および使用を、変更の有無にかかわらず、
以下の条件を満たす場合に認める:

  1. ソースコードの再配布においては、上記の著作権表示、この条件の列挙、
     下記の注意書きを残すこと。
  2. バイナリー形式の再配布においては、上記の著作権表示、この条件の列挙、
     下記の注意書きを、配布物に附属した文書および/または他のものに再現
     させること。
  3. 事前の文書による許可なしに、当大学の名前やその協力者の名前を、
     このソフトウェアから派生した製品の促進に使用しないこと。

このライセンスの前には著作権表示そのものが付きます。 この後には注意書きが付き、 このソフトウェアに関して問題が生じても、作者は責任を負わないと述べています。

バークレーライセンスは、かなり自由なライセンスです。 このライセンスが要求することは、 その作品の作者にその作品を作成したことに対する当然の功績を認めることと、 その名前をその作品を元にした製品の販促に使わないことだけです。 このライセンスは、条件が守られる限り自由な再配布を認め、 さらにその作品を変更して、もし望むのなら、 変更したものを配布しないことも認めています。 なお、 3. の条項を省略する協力者もいます。

バークレーライセンスは、 NetBSD のソースツリーを構成する作品のライセンス条項の雛型として 広く使われていますが、 ソースツリー内の全ての作品に適用されるわけではありません。 それぞれのファイルにどんなライセンスが適用されるかは、 各ファイルを調べる必要があります。 特に、ソースツリーのある部分は、バークレーライセンスとは非常に異なる GNU General Public License (GPL とも呼ばれる) (日本語訳: GNU 一般公有使用許諾書) に従っています。 私たちは、私たちが配布する全てのソフトウェアをバークレー形式のライセンス でカバーしたいのですが、 他の人々にライセンス条項を変更させることはできませんし、 必要な全てのソフトウェアを書き直すための無限の時間もありません。

The NetBSD Foundation に譲渡されたすべてのコードのデフォルトのライセンス (トップ)

The NetBSD Foundation (TNF) のライセンスは、2 条項バークレースタイルライセンスであり、 TNF に寄贈されたすべてのコードに使われます。もしあなたがコードを書き、 その著作権を TNF に譲渡した場合、以下に示すライセンスが使われます:

/*-
 * Copyright (c) 2008 The NetBSD Foundation, Inc.
 * All rights reserved.
 *
 * This code is derived from software contributed to The NetBSD Foundation
 * by 
 *
 * Redistribution and use in source and binary forms, with or without
 * modification, are permitted provided that the following conditions
 * are met:
 * 1. Redistributions of source code must retain the above copyright
 *    notice, this list of conditions and the following disclaimer.
 * 2. Redistributions in binary form must reproduce the above copyright
 *    notice, this list of conditions and the following disclaimer in the
 *    documentation and/or other materials provided with the distribution.
 *
 * THIS SOFTWARE IS PROVIDED BY THE NETBSD FOUNDATION, INC. AND CONTRIBUTORS
 * ``AS IS'' AND ANY EXPRESS OR IMPLIED WARRANTIES, INCLUDING, BUT NOT LIMITED
 * TO, THE IMPLIED WARRANTIES OF MERCHANTABILITY AND FITNESS FOR A PARTICULAR
 * PURPOSE ARE DISCLAIMED.  IN NO EVENT SHALL THE FOUNDATION OR CONTRIBUTORS
 * BE LIABLE FOR ANY DIRECT, INDIRECT, INCIDENTAL, SPECIAL, EXEMPLARY, OR
 * CONSEQUENTIAL DAMAGES (INCLUDING, BUT NOT LIMITED TO, PROCUREMENT OF
 * SUBSTITUTE GOODS OR SERVICES; LOSS OF USE, DATA, OR PROFITS; OR BUSINESS
 * INTERRUPTION) HOWEVER CAUSED AND ON ANY THEORY OF LIABILITY, WHETHER IN
 * CONTRACT, STRICT LIABILITY, OR TORT (INCLUDING NEGLIGENCE OR OTHERWISE)
 * ARISING IN ANY WAY OUT OF THE USE OF THIS SOFTWARE, EVEN IF ADVISED OF THE
 * POSSIBILITY OF SUCH DAMAGE.
 */

NetBSD のライセンスの選択

NetBSD プロジェクトは、なぜバークレー形式のライセンスを使うのか (トップ)

NetBSD プロジェクトに取り組む人々は、 誰でも、どのような用途にも使用可能な、 高品質のシステムを提供することを望んでいます。 私たちは、お金のためにこのプロジェクトに参加しているわけではないので (私たちはボランティアです!)、 人々が私たちの作品を配布するのを禁止したいとは思いません。 しかし、 作品をパブリックドメインにして 私たちの名前をソフトウェアに残す要求を放棄したりもしません。

バークレー形式のライセンスに関して誤解している人がいますが、 バークレー形式のライセンスではライセンシー(ライセンスされた作品の使用者) がそのコードを、いかなる形式でも、変更のあるなしに関わらず 販売することを許可していて、 バイナリーを販売していてもライセンシーがソースコードを開示する必要もありません。 これは、GNU General Public License で得られるライセンス条項と 著しい対照をなしています。 なぜなら、GPL はソースコードの開示を要求し、 もしバイナリーを配布するなら、そのバイナリーの作成に必要なソースを 喜んで手放さなければならないからです。

NetBSD プロジェクトに取り組んでいる私たちはこの違いを心得ていて、 中にはそこに価値を見出だす者もいます。 上で述べた通り、私たちは、 私たちのライセンス条項によるごくわずかな制限に従いさえすれば、 誰もが NetBSD オペレーティングシステムを 彼らが望むどのような目的にも使用可能であることを望んでいます。 さらに、私たちは、私たちの作品に対して何かを付け加えて配布する(利益などために) 人々に対して、その追加部分のソースコードを手放すよう要求するのは 正当な要求だとは思いません; 彼らは追加をしたのだから、その追加部分を彼らがどう扱おうが自由であるべきです。

まとめると、NetBSD プロジェクトに関係している人々は、 可能な限りバークレー形式のライセンスを使います; なぜならそれが、 元のままの著作権を保持して私たちの功績をその作品に残している限り ユーザーに私たちのソフトウェアを使って何をすることも許可するという 私たちの目的に、非常に良く合致しているからです。 しかし、もし、あるソフトウェアが NetBSD オペレーティングシステムの品質を 著しく向上させるのであれば、実用上、 異なるライセンス条項を持ったソフトウェアを含めていくこともあります。

なぜ NetBSD が使うライセンスを 4 条項から 2 条項に変えたのか (トップ)

2008 年、the NetBSD Foundation 構成員による投票の結果を受け、また、 ソフトウェアライセンスをめぐる情勢が変化していることを認識し、 the NetBSD Foundation は推奨ライセンスを 2 条項 BSD ライセンスに変更しました。 the NetBSD Foundation は、寄与者の皆さんが the NetBSD Foundation に著作権を譲渡する際には、 この推奨ライセンスを使うことを強く推奨します。

これと同時に、これまで the NetBSD Foundation に寄贈されたすべてのコードは、 新しい 2 条項の NetBSD ライセンスに変更されます。

このライセンスの変更は、以下のように、いくつもの要因があります。

  • 私たちは、以前のライセンスの第 3 条項 (広告条項) のせいで、 NetBSD を商用製品に使えない部分があるのではないか、 と懸念する組織や人々をみてきました。 新しいライセンスでは、そのような懸念は無用のものとなります。

  • UCB は先般、UCB に寄贈されたコードから第 3 条項を削除することとしました。 今回の私たちの変更は、これに準ずるものです。

  • 私たちの開発者のなかには、オープンソース関連企業や研究機関に勤務する者があり、 仕事での成果をオープンソースプロジェクトに還元することが認められている者もいます。 ただし、還元先プロジェクトのライセンスは、 彼らの勤務先の法務部門が認めたライセンスでなければならず、 4 条項の BSD ライセンスは認められない場合がありました。

  • The NetBSD Foundation の構成員 (つまり NetBSD 開発者) は、 第 4 条項 (「推奨」条項) が、今日のソフトウェア界においてもはや有用ではないと考えています。

サードパーティーの皆さんには、the NetBSD Foundation に寄与されたファイルのなかに 4 条項のライセンスをもつものがあれば、2 条項に変更することをおすすめします。 さらに、NetBSD が使われる多くの場所を私たちが追跡し続けることができるように、 そうしたファイルのことを私たちに教えていただくようお願いします。


著作権に関する情報

では、著作権とは何か? (トップ)

ここで述べている情報は教育的な目的のみに限定したものであり、 法律的な助言を与えるものではありません。 法律的な助言を得たい場合には、 あなたの住んでいる地域で弁護士資格を持つ弁護士に相談してください。 著作権に関して、ここで述べることより詳しい情報が必要であれば、 Copyright FAQ などを見てください(ただし、そちらでも法律的な助言は得られません)。

著作権は、作者が自身の作品について、 ある独占的な権利を持つことを認める仕組みです。 例えば、詩人には、自分の詩を独占的に複製する権利が認められます; すなわち、作品を複製できるのは、作者または作者から許可を得た人だけです。 著作権は、創造された表現(original expression)を保護します。 著作権は作品の根底にある考え方や事実を保護しないし、 作者が作品に取り入れたいかなる既存の作品をも保護しません。 合衆国および、他のベルヌ条約(Berne Convention)の加入国では、 作品の作者が著作権を保持するために作品に印をつけたりする必要は 一切ありません

作品に対する、保護されたさまざまな権利は、ライセンス (license; 許諾)という手段によって許可することができます。 ライセンスは、許諾事項と条件(*訳者注1) とから構成され、どんな場合に第三者が作者の作品を複製して良いのかを定義します。 ライセンスの条件には実にさまざまなものがあります: 対価を要求するライセンスもあれば、そういった要求をしないものもあります; それ以上の再配布を制限するライセンスもあれば、 ある条件において再配布を要求するものもあります。

ライセンス条項の効力を発生させる方法はたくさんあります。 例えば、 作品に触れさせる前にライセンス契約にサインさせるという方法もありますし、 ライセンス条項を目立つ場所に記載しておいて 作品を使用することはライセンス条項の受け入れを意味すると付記しておく方法 (いわゆるシュリンクラップ契約)もあります。

注意しなければならないのは、 作者が著作権を保持している作品と、 作者によってパブリックドメイン(public domain; 著作権消滅状態) であるとされた作品とには、 重大な違いがあるということです。 作者がある作品をパブリックドメインにすると、 作者はその作品に対する全ての権利を放棄したことになります。 ソフトウェアの作者は、 「この作品はパブリックドメインです。再配布は対価を求めない限り自由です。」 などと言うことはできません。 この表現は自己矛盾しています。 なぜなら、作品をパブリックドメインにすることによって、 作者はすでにその作品の複製を管理する権利を放棄しているからです。

*訳者注1

このページでは、許諾事項またはその条件のことを区別せずに呼ぶとき、 「条項」という訳語を当てることにします; すなわち、ライセンスはいくつかの条項から構成されます。 原文は "terms" で、主に条件という意味ですが、 許可されることがらをも指す語のようです。