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NetBSD 4.0 のアナウンス

NetBSDプロジェクトは、 NetBSDオペレーティングシステムのリリース 4.0 を 発表できることを喜ばしく思います。 NetBSD はフリーで安全、かつ高い移植性を備えた Unix風のオープンソースオペレーティングシステムで、 64 ビット Opteron マシンやデスクトップシステムから携帯端末や組み込みデバイスまで、 多くの機種で利用可能です。NetBSDのきれいな設計と進んだ特徴は、 製品としても研究環境としても優秀であり、 完全なソースが提供され、ユーザーによってサポートされています。 多くのアプリケーションも、 NetBSD パッケージコレクション (pkgsrc) を使って簡単に利用可能です。

NetBSD 4.0 での主な成果には、Xen 仮想マシンモニターのバージョン 3、 Bluetooth、多くの新しいデバイスドライバーや ARM, PowerPC, MIPS CPU にもとづく組み込みプラットフォームへの対応、 iSCSI ターゲット (サーバー) をはじめとする新しいネットワークサービスや CARP (Common Address Redundancy Protocol) の実装などがあります。 また、W^X ポリシーを適用する mprotect(2) による制限、 カーネル認証の枠組、検証つき実行によるファイル健全性サブシステムにより、 システムへのトロイの木馬やウイルスの攻撃が難しくなり、 システムのセキュリティーが大幅に拡張されました。 詳細は、後に掲げる NetBSD 4.0 での変更点の一覧をご覧ください。

NetBSD 4.0 は、 17 のまったく異なるCPUファミリーと 17 のマシンアーキテクチャーをサポートし、 54 の異なるシステムアーキテクチャー上で動作しており、 さらに現在も移植作業が進められています。 NetBSD 4.0 リリースには、51 の異なるマシン向けの完全なバイナリーリリースが含まれているほか、 amigappc, bebox, ews4800mips の各プラットフォーム向けのソース形式のみのリリースが含まれています。 NetBSD 4.0 の完全なソースコードおよびバイナリーは、世界中の多くのサイトから ダウンロード可能です。FTP, AnonCVS, SUP やその他のサービスによる ダウンロードサイトの一覧が、このアナウンスの最後にあります。 また、最新のダウンロードサイトの一覧は、 http://www.NetBSD.org/mirrors/ にもあります。 CD-ROM ISO イメージを使ってインストールをする利用者のみなさんには、 ISO イメージ置き場にある torrent ファイルを使い、 BitTorrent 経由でダウンロードすることをおすすめします。 NetBSD 4.0 配布物のハッシュの一覧は、広く知られている NetBSD セキュリティーオフィサーの PGP 鍵で署名されています: ftp://ftp.NetBSD.org/pub/NetBSD/security/hashes/NetBSD-4.0_hashes.asc

NetBSD はフリーです。すべてのコードは非限定的ライセンスで配布され、 誰にもロイヤルティーを払うことなく利用できます。無償のサポートサービスを、 メーリングリストや Web サイトを通じて受けることができます。 また、商用サポートには様々なものがありますが、その主なものは http://www.NetBSD.org/gallery/consultants.html から見つけることができます。 NetBSD についてのより広範囲の情報は、 私たちの Web サイトから入手することができます。

献辞

NetBSD 4.0 を、2007 年 10 月に亡くなった萩野 純一郎(itojun、いとぢゅん)氏に捧げます。 itojun は、NetBSD に IPv6 と IPSec のサポートを提供した KAME プロジェクトのメンバーであり、 また、NetBSD プロジェクトのコアチーム (プロジェクトの技術面の管理) のメンバーでもあり、 セキュリティーオフィサーチームの一員でもありました。 彼の努力により、NetBSD は製品レベルの IPv6 ネットワークスタックを持つ最初のオープンソースのオペレーティングシステムになりました。 そして、IPv6 ネットワークスタックが基本システムに組み込まれたのは、 まだ IPv6 が多くの人々に知られるようになる前のことです。 私たちは彼と知り合い、彼とともに作業することができたことを、 大変感謝しており、彼を失ったことは残念なことです。 それゆえ、このリリースを、感謝の気持ちとともに、彼の思い出に捧げます。

募金

2007 年の募金キャンペーンの期間はまだ続いていますが、 まもなく年末に伴い終了することを、皆さんに思い出していただきたいと思います。 今回のリリースをもって、すべての NetBSD 利用者の皆さんに、 NetBSD プロジェクトへのクリスマスプレゼントのお願いとしたいと思います。 あなたも、私たちが NetBSD をよりよくするための手助けをすることができるのです。 寄附をお願いします。

NetBSD 4.0 でサポートされるシステムファミリー

NetBSD 4.0 のリリースでは、以下のシステム用バイナリーを提供しています。

NetBSD/acorn26 Acorn Archimedes、A-シリーズ と R-シリーズのシステム
NetBSD/acorn32 Acorn RiscPC/A7000, VLSI RC7500
NetBSD/algor Algorithmics社 MIPS評価ボード
NetBSD/alpha Digital/Compaq Alpha (64ビット)
NetBSD/amd64 Opteron, Athlon64 などの AMD 系プロセッサーと、EM64T 拡張に対応した Intel CPU
NetBSD/amiga コモドール Amiga と、マクロシステム DraCo
NetBSD/arc Advanced RISC Computing仕様準拠のMIPSベースマシン
NetBSD/atari アタリ TT030、Falcon、Hades
NetBSD/cats Chalice Technologyの CATS と Intel の EBSA-285 評価ボード
NetBSD/cesfic CES FIC8234 VME プロセッサーボード
NetBSD/cobalt コバルトネットワークスのMIPSベースマイクロサーバー
NetBSD/dreamcast セガドリームキャストゲーム機
NetBSD/evbarm ARM にもとづく各種の評価ボードおよび組み込み機器
NetBSD/evbmips MIPS にもとづく各種の評価ボードおよび組み込み機器
NetBSD/evbppc PowerPC にもとづく各種の評価ボードおよび組み込み機器
NetBSD/evbsh3 日立 Super-H SH3 と SH4 にもとづく各種の評価ボードおよび組み込み機器
NetBSD/hp300 ヒューレットパッカード9000/300と400シリーズ
NetBSD/hp700 ヒューレットパッカード 9000 シリーズ 700 ワークステーション
NetBSD/hpcarm StrongARMベースWindows CE PDAマシン
NetBSD/hpcmips MIPSベース Windows CE PDAマシン
NetBSD/hpcsh 日立 Super-H ベースWindows CE PDAマシン
NetBSD/i386 i386 系以上のプロセッサーを持つ、IBM PC および PC 互換機
NetBSD/ibmnws IBM Network Station 1000
NetBSD/iyonix Castle Technology の ARM ベース Iyonix PC
NetBSD/landisk SH4 プロセッサーにもとづく NAS 製品
NetBSD/luna68k オムロンLUNAシリーズ
NetBSD/mac68k Motorola 68k CPU を持つ、Apple Macintosh
NetBSD/macppc PowerPC にもとづく Apple Macintosh およびその互換機
NetBSD/mipsco MIPS Computer Systems Inc. ワークステーションおよびサーバーファミリー
NetBSD/mmeye BrainsのmmEyeマルチメディアサーバー
NetBSD/mvme68k モトローラ MVME 68k シングルボードコンピューター
NetBSD/mvmeppc モトローラ PowerPC VME シングルボードコンピューター
NetBSD/netwinder StrongARMベース NetWinderマシン
NetBSD/news68k ソニー 68kベース NET WORK STATION シリーズ
NetBSD/newsmips ソニー MIPSベース NET WORK STATION シリーズ
NetBSD/next68k NeXT 68k 黒い ハードウェア
NetBSD/ofppc OpenFirmware PowerPC マシン
NetBSD/pmax Digital MIPS ベース DECstation および DECsystem
NetBSD/pmppc Artesyn の PM/PPC ボード
NetBSD/prep PReP (PowerPC Reference Platform)およびCHRPマシン
NetBSD/sandpoint モトローラ Sandpoint参照プラットフォーム
NetBSD/sbmips Broadcom SiByte評価ボード
NetBSD/sgimips シリコングラフィックス MIPSベースワークステーション
NetBSD/shark Digital DNARD (shark)
NetBSD/sparc Sun SPARC (32ビット) および UltraSPARC (32ビットモード)
NetBSD/sparc64 Sun UltraSPARC (ネイティブ64ビットモード)
NetBSD/sun2 Motorola 68010 CPU を持つ、Sun Microsystems Sun 2 マシン
NetBSD/sun3 Motorola 68020 および 030 にもとづく Sun 3 および 3x マシン
NetBSD/vax Digital VAX
NetBSD/x68k シャープX680x0シリーズ
NetBSD/xen Xen 仮想マシンモニター

このリリースにおいて、 以下のアーキテクチャーはソースコード形式でのみ提供されています。

NetBSD/amigappc PowerPCベースAmigaボード
NetBSD/bebox Be IncのBeBox
NetBSD/ews4800mips MIPS にもとづく NEC の EWS4800 ワークステーション

3.0 と 4.0 の間の主要な変更点

変更点の完全な一覧は、 NetBSD 4.0 リリースツリーのトップディレクトリーにある CHANGES および CHANGES-4.0 ファイルにあります。 いくつかの重要な点は以下の通りです。

ネットワーキング

  • agr(4): リンクアグリゲーション用の新しい疑似デバイスドライバーです。
  • IPv6 対応が拡張され、RFC 3542 準拠の API が gre(4) トンネルおよび tun(4) デバイス用に追加されました。
  • i386 プラットフォームで Windows のバイナリードライバーを使うための NDIS ラッパーが追加されました。ndiscvt(8) をご覧ください。
  • IPv4 ソースアドレスの選択ポリシーを、各種アルゴリズムから追加できるようになりました。 options(4) の "IPSRCSEL" および in_getifa(9) をご覧ください。
  • wpa_supplicant(8) および wpa_cli(8) がインポートされました。 802.11 WPA ネットワークへの接続と状態の処理をするユーティリティーです。
  • hostapd(8) がインポートされました。IEEE 802.11 ネットワークの認証をおこないます。
  • carp(4): 高可用性・冗長性のために IP アドレスの組を複数のホストで共有できるようにする Common Address Redundancy Protocol がインポートされました。 OpenBSD 由来です。
  • ALTQ が PF パケットフィルターに対応しました。
  • etherip(4): 新しい EtherIP トンネリングデバイスです。RFC 3378 で仕様化された EtherIP プロトコルを使って、Ethernet のトラフィックを IPv4 および IPv6 上でトンネルすることができます。
  • ftpd(8) が、inetd(8) 経由ではなく、 独立して動作可能になりました。
  • tftp(1) が、オープンループモードで マルチキャスト TFTP の操作に対応しました。サーバーは対応作業中です。
  • tcp(4): RFC 3465 Appropriate Byte Counting (ABC) および、 RFC 3168 で定義されている Explicit Congestion Notification に対応しました。

ファイルシステム

  • scan_ffs(8), scan_lfs(8): ディスクやイメージファイル上のディスクラベルを復旧するために、 FFSv1/v2 および LFS パーティションを見つけ出すユーティリティーです。
  • tmpfs: mfs の置き換えをめざして新たに追加されたメモリーにもとづくファイルシステムです。 mfs とは異なり、ディスク上のファイルシステムにもとづいていません。 このため、全体的なメモリー消費と速度いずれの面でもすぐれています。 mount_tmpfs(8) をご覧ください。
  • 光学メディアおよびブロックデバイスの UDF に対応しました。 mount_udf(8) をご覧ください。今のところ読み取り専用です。
  • NFS エクスポートリストの処理が、ファイルシステムに依存しないように変更されました。
  • LFS: 安定性の改善が多数おこなわれ、クリーナーデーモンが新しくなりました。 また、LFS をルートファイルシステムとして使うこともできるようになりました。
  • vnd(4): vnode ディスクドライバーが、smbfs や tmpfs のようなファイルシステム上で使えるようになりました。
  • System V Boot File System に対応しました。 newfs_sysvbfs(8) および mount_sysvbfs(8) をご覧ください。

ドライバー

  • オーディオ:

    • Intel ICH8/6300ESB, NVIDIA nForce 3/4 といった新機種に対応しました。
    • AC'97 モデムに対応しました。
    • auich(4): AC'97 モデムをオーディオデバイスとして扱うことに対応しました。 カーネルオプション AUICH_ATTACH_MODEM で有効になります。
    • azalia(4): S/PDIF に対応しました。

  • ハードウェアモニター:

    • amdpm(4): 多くの Opteron マザーボードで使われている AMD-8111 上の i2c バスと、Analog Devices ADT7464 ハードウェアモニターチップに対応しました。
    • adt7467c(4): Analog Devices ADT7467 および ADM1030 ハードウェアモニターチップ用の新しいドライバー。
    • ipmi(4): Intelligent Platform Management Interface 1.5 または 2.0 を実装したマザーボード用の新しいドライバー。 OpenBSD 由来です。
    • it(4): iTE 8705F/8712F および SiS 950 ハードウェアモニターチップ用の新しいドライバー。
    • lm(4) ドライバーが書き直され、対応チップが増えました。 たとえば Winbond W83627HF, W83627THF, W83627DHG, Asus AS99127F などに対応しました。
    • owtemp(4): 1-Wire 温度センサー用の新しいドライバー。
    • tm121temp(4): Texas Instruments TMP121 温度センサー用の新しいドライバー。
    • ug(4): 最近の Abit マザーボードに使われている Abit uGuru ハードウェアモニター用の新しいドライバー。

  • その他いろいろ:

    • geodewdog(4): 新しい AMD Geode SC1100 ウォッチドッグタイマードライバー。
    • gscpcib(4): GPIO インターフェースに対応した、 新しい AMD Geode SC1100 PCI-ISA ブリッジ。

  • ネットワーキング:

    • ath(4): HAL が更新され、WiSOC (AR531x) および 32 ビット SPARC に対応しました。
    • bge(4): BCM5753, BCM5753M, BCM5715, BCM5754, BCM5755, BCM5787 の各チップに対応しました。 また、多数の改良やバグ修正もおこなわれています。
    • kse(4): Micrel KSZ8842/8841 PCI ネットワークカード用の新しいドライバー。
    • msk(4): Marvell Yukon 2 GigE PCI ネットワークカード用の新しいドライバー。 OpenBSD 由来です。
    • nfe(4): NVIDIA nForce イーサネットネットワークカード用の新しいドライバー。 OpenBSD 由来です。
    • ral(4): PCI/Cardbus Ralink RT2500, RT2501, RT2600, RT2661, RT2500 USB チップセット用の新しい 802.11 ドライバー。OpenBSD 由来です。
    • rum(4): USB Ralink RT2501 および RT2601 チップセット用の新しい 802.11 ドライバー。OpenBSD 由来です。
    • sip(4): sparc64 上で動作するようになりました。
    • tlp(4): ASIX AX88140A および AX88141 に対応しました。
    • vr(4): VIA Rhine III に対応しました。
    • wm(4): i8003, ICH8, ICH9 その他に対応しました。 IPv6 受信 TCP/UDP チェックサムオフロードなどに対応しました。
    • wpi(4): Intel PRO/Wireless 3945ABG PCI 802.11 ネットワークカード用の新しいドライバー。OpenBSD 由来です。

  • セキュリティー:

    • glxsb(4): 乱数および AES アクセラレーションをおこなう AMD Geode LX AES Security Block 用の新しいドライバー。OpenBSD 由来です。

  • 電源管理:

    • i386 で、PIIX4 PCI-ISA 上の Intel Speedstep SMI に対応しました。
    • Athlon Mobile, Athlon64, Opteron, X2 をはじめとする K7 および K8 CPU (32 ビットと 64 ビットの両モード) 上の PowerNow および Cool'n'Quiet テクノロジーに対応しました。 さらなる情報は options(4) をご覧ください。
    • VIA C7/Eden および Intel Core Solo/Duo/Duo2 をはじめ、 Enhanced Speedstep CPU への対応が充実しました。 さらなる情報は options(4) をご覧ください。
    • Enhanced Speedstep および PowerNow の各ドライバーの調整機能が、 搭載する全 CPU で動作するように変更され、SMP システムでも節電が可能になりました。

  • ストレージ:

    • ahcisata(4): AHCI 1.0 および 1.1 準拠 SATA コントローラー用の新しいドライバー。
    • ataraid(4): Adaptec HostRAID および VIA V-Tech ソフトウェア RAID の処理に対応しました。
    • ciss(4): HP/Compaq 第5世代以降 Smart ARRAY コントローラー用の新しいドライバー。OpenBSD 由来です。
    • fdc(4): SBus にもとづく sparc64 マシンに対応しました。 また、sparc 上でのフォーマットを修正しました。
    • gcscide(4): AMD Geode CS5535 コンパニオンデバイス IDE コントローラー用の新しいドライバー。
    • jmide(4): JMicron Technology JMB36x PCIe to SATA II/PATA コントローラー用の新しいドライバー。
    • mfi(4): LSI Logic および Dell MegaRAID SAS コントローラー用の新しいドライバー。OpenBSD 由来です。
    • mpt(4): 最近の SAS および類似デバイスに対応しました。
    • njata(4): Workbit NinjaATA-32 CardBus IDE コントローラー用の新しいドライバー。
    • pdcsata(4): Promise PDC20775, PDC20771, PDC40518, PDC40718 に対応したほか、いくつかバグ修正がおこなわれました。
    • piixide(4): ICH8/ICH8-M/ICH9 IDE および SATA コントローラーの一部に対応しました。
    • svwsata(4): Serverworks K2 SATA コントローラー用の新しいドライバー。OpenBSD 由来です。
    • viaide(4) VIA VT8237A SATA コントローラー および AMD CS5536 コンパニオンデバイス IDE コントローラーに対応しました。

  • USB:

    • ucycom(4): Cypress マイクロコントローラーにもとづく シリアルデバイス用の新しいドライバー。
    • uipaq(4): iPAQ デバイス用の新しいドライバー。
    • uslsa(4): Silicon Labs CP210x シリーズのシリアルアダプター用の新しいドライバー。
    • utoppy(4): Topfield TF5000PVR 系のデジタルビデオレコーダー用の新しいドライバー。

プラットフォーム

  • i386:

    • Multiboot 仕様に対応しました。 パラメーターをカーネルにわたすことなど、 GRUB を使ったカーネルの読み込みへの対応が大きく改善されたということです。
    • VIA Unichrome Graphics アダプターに対応する、 unichromefb フレームバッファードライバーが追加されました。
    • vesafb(4): VESA BIOS 拡張 (VBE) 2.0 以上に対応する、 新しいフレームバッファードライバーが追加されました。
    • BIOS ブートローダーが cd9660 ファイルシステムからのブートに対応しました。 この機能追加により、ブートの際に、 これまでより大きなカーネルの読み込みや、 複数のカーネルの選択ができるようになりました。

  • evbarm: 新たに、 Arcom Viper PXA255 にもとづくシングルボード、Atmark Techno Armadillo-9 および Armadillo-210, Certance CP-3100, Linksys NSLU2 (別名 "Slug"), I-O DATA HDL-G Giga LANDISK NAS デバイスに対応しました。
  • evbmips: Alchemy Au1550 プロセッサー、DBAu1550 ボード、Alchemy Au15XX PCI ホスト (OMS-AL400/128)、Atheros AR5312 SoC に対応しました。
  • 新ポート ews4800mips: NEC の MIPS にもとづく EWS4800 ワークステーション。
  • cobalt: raidframe RAID1 ミラーからのブートに対応しました。
  • hpcmips: Sharp Telios の LCD 画面とバッテリーユニット用の teliosio(4) ドライバーが追加されました。
  • 新ポート landisk: SH4 プロセッサーにもとづく NAS 製品へのポートです。 I-O DATA 製品 (USL-5P, HDL-U, HDL-AV, HDL-W, HDLM-U シリーズ、SuperTank LAN Tank, UHDL-160U, UHDL-300U) および Plextor PX-EH16L, PX-EH25L, PX-EH40L に対応します。
  • macppc: アクセラレートされた wsdisplay ドライバーを (可能ならば) 標準状態で使うこと、 また、汎用の Open Firmware フレームバッファーではなく適切なドライバーを使うことに対応しました。
  • prep: このポートが現代風に書き改められ、 対応機種が 5 個増えました。新たに対応した機種には、 IBM 7024-E20, 7025-F30 の機種および Motorola Powerstack E1 があります。さらに、sysinst に対応し、ブートローダーの過程が改良されたことで、 インストールや今後のリリースでの更新が容易にできるようになりました。
  • sparc: RAID1 ミラーからのブートに対応しました。
  • Xen: Xen3 domU および dom0 (非特権ドメインおよび domain 0) に対応しました。これには、 ハードウェア仮想化対応 CPU への対応も含まれます。

カーネルサブシステム

  • Firewire (IEEE1394) 対応の改善が FreeBSD から取り込まれました。
  • midi(4) の枠組が完全に書き直され、 アクティブセンシングへの対応の改良と、 テンポやタイムベースの変更処理が改良がおこなわれました。
  • 以下のものをはじめとする Bluetooth プロトコルスタックが追加されました。

    • ハードウェアドライバー: USB コントローラー用の ubt(4) および 3Com Bluetooth PC カード用の bt3c(4)
    • HCI, L2CAP, RFCOMM, SCO プロトコルへのソケットにもとづくアクセス。
    • キーボード、マウス、SCO オーディオのようなリモート Bluetooth デバイス上のサービスを NetBSD のデバイスの枠組に統合するための、 疑似デバイスドライバー。

    bluetooth(4), bthset(1), btpin(1) をご覧ください。

  • ブロックハードウェア RAID デバイスコントローラーへの要求や制御をおこなう bio(4) の枠組が OpenBSD から取り込まれました。現在のところ、mfi(4) ドライバーに対応しています。
  • カーネルが、ステートフルな先読みアルゴリズムを使うようになりました。
  • dkctl(8) を使って、wd(4) ディスクの使用中に バッファーキューの方策を切替えることができるようになりました。bufq(9) をご覧ください。
  • fileassoc(9) が Veriexec で使われるようになりました。これは、 カーネル内にファイルシステム独立なファイルメタデータ連携インターフェースを追加します。
  • firmload(9): 各種ハードウェアデバイスで使われるファームウェアイメージの読み込み用の API。
  • gpio(4): OpenBSD から取り込まれた、汎用 I/O の枠組。
  • onewire(4): OpenBSD から取り込まれた、Dallas Semiconductor 1-wire バスの枠組。
  • ioctl を使って、カーネルとの間でプロパティーリストを受渡しするための proplib(3) プロトコルが追加されました。
  • spi(4): 新しい SPI (Serial Peripherial Interface) の枠組。
  • timecounter(9) で、 NTP API 4 のナノカーネル実装に新しい時刻維持の基盤が追加されました。 ほとんどすべてのプラットフォームが、この API に対応するよう変更されました。
  • amd64 用の 32ビット Linux エミュレーション (COMPAT_LINUX32) はじめました。
  • wscons(4) コンソールドライバーがスプラッシュ画面、 カーネルおよびブートメッセージのスクロール、プログレスバーに対応しました。

これからも、カーネルのインターフェースは洗練され、 ポート間でサブシステムやデバイスドライバーが共有されるでしょう。 これらの作業が進んでいくことを楽しみにしていてください。

セキュリティー

  • FAST_IPSEC の IPsec 実装が、 これまで使えていた IPv4 のハードウェアアクセラレーションに加えて、 IPv6 用のハードウェアアクセラレーションも使うよう拡張されました。 さらなる情報は、fast_ipsec(4) をご覧ください。
  • mprotect(2) が、PaX 由来の、W^X ポリシーを適用した制限に対応しました。 options(4), sysctl(3), paxctl(8) をご覧ください。
  • libssp の追加により、GCC 4 の stack smashing protection (SSP) への対応が使えるようになりました。security(8) をご覧ください。
  • カーネル認証の枠組 kauth(9) が追加され、 伝統的な BSD 信任状管理および抽象層を使った特権的な操作のアクセス制御を置き換えました。 これにより、NetBSD 配布物の一部としてもサードパーティーの LKM でも、 各種セキュリティーモデルの実装をおこなうことが可能となりました。

    NetBSD のカーネル認証は、 Apple が開発した類似のインターフェースをクリーンルーム方式で実装したものと、 その機能の拡張、信任状の継承性を制御する概念の結合の混成となっています。

ユーザーランド

  • サードパーティーのソフトウェアが更新されました。

    • BIND 9.4.1-P1
    • OpenSSL 0.9.8e
    • CVS 1.11.22
    • OpenSSH 4.4
    • gettext 0.14.4
    • PF from OpenBSD 3.7
    • (n)awk 20050424
    • Postfix 2.4.5
    • am-utils 6.1.3
    • file 4.21
    • zlib 1.2.3
    • GNU binutils 2.16.1
    • GNU groff 1.19.2
    • IPFilter 4.1.23
    • GNU gcc 4.1.2 prerelease
    • GNU gdb 6.5 (一部のアーキテクチャー)
    • NTP 4.2.4p2
    • pppd 2.4.4

  • cdplay(1): デジタル転送モードに対応しました。
  • cksum(1) が、チェックサムの検証をできるようになりました。
  • csplit(1): ファイルを分割する新しいユーティリティー。 FreeBSD/OpenBSD 由来です。
  • identd(1): ident 問い合わせの転送と、 中継された ident 問い合わせの受け取りに対応しました。
  • getent(1): ethers データベースに対応しました。
  • gkermit(1): Kermit プロトコルを使ったファイル転送用の、 新しいプログラム。
  • mail(1): Mime および複数文字セットの処理、 コマンドライン編集および補完に対応しました。
  • utoppya(1): utoppy(4) ドライバーへのインターフェースとなる新しいユーティリティー。
  • init(8): chroot() 環境でのマルチユーザーの実行に対応しました。 ルートファイルシステムを、たとえば cgd(4), vnd(4), ccd(4) ボリュームに置くことができるようになりました。
  • gpt(8): GUID パーティションテーブル保守用の新しいユーティリティー。 FreeBSD 由来です。
  • iSCSI ターゲット (サーバー) のコードが追加されました。iscsi-target(8) をご覧ください。 イニシエーター (クライアント) のコードは作業中です。
  • lockstat(8): 呼び出したプログラムがその開始から終了までの間にカーネルをロックしたイベントのまとめを表示するための、 新しいコマンド。
  • ofctl(8): macppc, shark, sparc64 用の、 OpenPROM または OpenFirmware のデバイスツリーを表示するための、新しいコマンド。
  • Bluetooth 対応用の各種ユーティリティーが追加されました。

    • コントローラー設定用の btconfig(8)
    • リモートサービス関連の疑似デバイスを管理する btdevctl(8)
    • 無線接続の認証用の bthcid(8) および btpin(1)
    • リモートデバイスのサービス探索をおこなうための sdpd(8)
    • リモートデバイスへのサービス照会用の sdpquery(1)
    • stdio または pty 経由で、RFCOMM 上のリモートサービスにアクセスするための rfcomm_sppd(1)
    • Bluetooth ヘッドセットへの接続をおこなうための bthset(1)

もちろん、以上のほかにも、 数えきれないほどのバグ修正やさまざまな拡張がおこなわれました。

NetBSD から削除された構成要素

今回の NetBSD リリースでは、 前回のリリースにあったソフトウェア構成要素のいくつかが削除されています。 このなかには、まったく役に立たないものや、 ユーティリティーの保守コストが過大なものもありました。 その他のものは、正しく動作せず、修正しようという関心も十分になかったものです。

  • sushi は基本システムから削除されました。 関心がなくなり保守が不十分だったためです。sushi が本当に必要な場合は、 CVS リポジトリーの othersrc/usr.sbin/sushi にあります。 ただし、保守されておらず、古いものになっているはずですので、 ご注意ください。
  • Vinum は削除されました。 関心がなくなり保守が不十分だったためです。削除された時点で、 (コンパイルできないことをはじめ) 深刻な問題がいくつもあることがわかっていました。 RAIDframe で類似の機能が実現できます。Vinum を使っていて、 データのバックアップが必要な場合は、Vinum パーティションを削除し、 RAIDframe パーティションを作成して、そこにデータを復旧してください。 RAIDframe の詳細は、raid(4), raidctl(8)NetBSD ガイドにあります。
  • Sendmail は削除されました。Postfix が標準 MTA であり、これには コマンドラインツール sendmail(1) もあります。 Postfix は、2000 年 12 月に NetBSD 1.5 がリリースされて以来、 NetBSD に附属しています。 Postfix に関する詳細は、 NetBSD ガイドにあります。 Sendmail が必要な方向けに、pkgsrc の mail/sendmail および mail/sendmail813 パッケージで利用可能になっています。
  • NETCCITT と NETNS は削除されました。 関心がなくなり保守が不十分だったためです。(他のネットワークコードに対して、 古くなってしまっているなど) 深刻な問題があることがわかっており、 また、私たちの知る限り、削除された時点で利用者はいませんでした。 残念ながら、これらの代替となるものはありません。
  • UUCP は削除されました。 NetBSD の UUCP の実装は pkgsrc 版に統合されました。 UUCP ツールを使う方向けに、pkgsrc の net/uucp パッケージで利用可能になっています。 tip(1) のフロントエンドとしては、 cu(1) コマンドが利用可能です。
  • Fortran 77 コンパイラー (g77) は、GCC 3 から (Fortran 77 コンパイラーを含まない) GCC 4 への移行にともない削除されました。 Fortran 77 コンパイラーが必要な方向けに、pkgsrc の lang/gcc3-f77 パッケージで利用可能になっています。
  • evbsh5 ポートは NetBSD から削除されました。 利用可能な SH5 ハードウェアがないこともあって、 関心が失われたためです。

謝辞

NetBSD Foundationは、コード、ハードウェア、ドキュメンテーション、 資金、サーバーの場所、webページその他のドキュメンテーション、 リリースエンジニアリング、その他のリソースを、長年に渡って提供して くださった全ての人々に感謝します。 NetBSD を立ち上げた人々についての 詳細な情報は以下の場所にあります。

私達が使っているコードの膨大なサブセットを提供してくれた カリフォルニア大学バークレー校とGNUプロジェクトには、特に感謝します。 また、サーバーを提供していただいている Internet Systems Consortium Inc., Columbia University Computer Science Department の Network Security Lab, Luleå University of Technology の Ludd (Luleå Academic Computer Society) computer society にも感謝します。

NetBSD Foundation について

NetBSD Foundation は1995年に、NetBSDプロジェクトの中核のサービスを管理し、 産業界やオープンソースコミュニティーへのプロジェクトを売り込み、 NetBSDのコードベースの知的所有権を守るために設立されました。 日々のプロジェクトの作業は、ボランティアによっておこなわれています。

NetBSD Foundation は非営利の組織で商業的背景を持たないことから、 利用者からの寄附に依存しています。 私たちのすばらしいオペレーティングシステムの製作を続けられるようにするため、 寄附をしていただくようお願いしています。 寛大なご寄附をいただけたら、財団の運営費用のほか、 特に、進行中の更改や保守の支援となりますので、大変ありがたく思います。

寄附は PayPal を使って 宛におこなうことができ、 米国内では完全に免税されます。PayPal を使いたくない場合や、 その他の調整をしたい場合は、 までご連絡ください。

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